谷口 優
2021年5月10日 · 読了時間:2 分
まん延防止等重点措置に続き3度目となる緊急事態宣言が4都府県に発出され、飲食店には午後8時までの時短営業、さらに酒類提供の自粛が要請された。これをうけて、当然のことながら飲食店の客足は減少。5月5日時点で、2019年と比べて7割近くにまで落ち込んだ。2020年2月ごろから減り始めた飲食店の客足は、度重なる政府の行き当たりばったりの自粛要請のおかげで、飲食店の倒産件数は715件と過去三番目の高水準にまで達した。(帝国データバンク集計より)
飲食店に対し自粛と解除を繰り返すだけの日本政府の対応は、はたしてどれほどの効果があるのだろうか。当社の来店動向データからは、逆効果ではないかと疑われるほどの数字がみえてくる。
表①は3度目の緊急事態宣言期間に関する緊急事態宣言およびまん延防止措置対象地域の来店人数を表したものだ。東京、大阪を含む4都府県に緊急事態宣言が発出された4月25日から5月5日時点までの来店人数を2019年同期と比較すると、対象地域の平均で約7割近くまで落ち込んでいることが分かる。ただ、飲食店の繁忙期でもある5月1日から5日5日時点までのゴールデンウィーク期間には、前月比平均で6割以上客足は増加。2019年比で3割強減まで戻している。全国平均の数値が対象地域よりも低いことを考えると、この自粛要請はさほど効果をあげていないと言えるのではないだろうか。
飲食店と客の絶対数が多い都心部などでは、自粛期間中も一定数外食をする人たちは存在する。それが週末や大型連休などイベントごとのたびに増加し、自粛期間中にも徐々に全体の客足は増加の一途をたどっている。一方、酒類提供や深夜まで営業している飲食店は、通常時よりも圧倒的に少ないため、お客はその店に集中してしまう。以前にも当ブログで書いたが、自粛期間中の方がそうでない期間に比べて、店内密度は1.5倍になるという分析もある。
グラフ①~④は1度目の緊急事態宣言から今回の3度目の緊急事態宣言までの来店人数の推移を週平均で示したものだ。ここからみえてくるのは、自粛期間が長くなるほど来店人数は増加傾向になり、自粛要請の効果が低くなるということだ。だいたい3~4週目以降から増加に転じていることがわかる。今回の自粛要請は、まん延防止措置に続いて発出されたので、5月5日時点ですでに自粛期間は5週目を迎え、ゴールデンウィークもあいまって前週に比べて50%近く客足が増加している。さらに、1度目より、2度目。2度目より、3度目とその自粛効果が低くなっていることも明らかだ。その間、新規感染者数は増加し続けている。
新型コロナウイルス感染拡大が始まって以来、政府は一貫して「外食」を感染拡大の一番の要因と言わんばかりに自粛を要請してきた。ほとんどの飲食店が度重なる要請に従い、ひっ迫するギリギリの経営の中、これまで耐えてきた。なのに、感染拡大をおさえこめないどころか、歯止めがきかない状況になっているのはなぜだろうか。
例えば、諸外国で実施されている店内のキャパシティーコントロールはなぜ行われないのか?午後8時までの時短営業では、同時間帯や午後8時以降営業している店にお客が集中してしまうことは容易に想像がつく。
さらに、家庭内感染など接触が多い間柄における感染拡大は回避が困難であると仮定すると、夫婦や親子などの同居人や単独での食事まで制限する必要性は高くはないと思われる。
消費者は比較的リスクが低いと思われる大切な人との食事も制限を強いられ、飲食店側も甚大なコストを負担している中で、飲食店のみが酒類提供を中止したところで、宅飲みが増える可能性もある。検温、消毒、アクリル板の設置といった様々な対策をとっている飲食店と比較して、果たして宅飲みで同程度の対策を行う人がどれだけ存在するのか。
そもそも、世界的にみて病床数が確保できていないことや、ワクチンの接種が進んでいないことが根本的な原因であり、外食自体が原因なのではない。ほとんどの飲食店は政府の方針や各自治体の要請に常に従って自粛をしてきた。
根本的な解決が進まない中で、ロジカルでない施策やデータにもとづいた効果検証がなされないまま、ただ単に自粛と解除を繰り返していることこそが感染拡大を助長し、経済を傷つけている一番の要因なのではないだろうか。
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本ブログの掲載データを引用される際には、必ず「テーブルチェック調べ」と明記ください。
グラフはいずれも2021年5月5日締めの当社集計データです。
「来店人数」の定義は、キャンセルと無断キャンセルを除く全来店人数です。
本データは、当社が開発・提供する予約・顧客管理システム「TableCheck」を利用する日本国内の飲食店約5000店舗を対象としています。
すべてのグラフは、飲食店に来店した時点を基準に集計した「来店日データ」をもとに当社で作成しております。
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※2020年8月11日「TableSolution」は「TableCheck」に名称変更いたしました。
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谷口 優
TableCheck代表取締役社長CEO。
CyberSource 日本法人にて営業、リーガル、経営企画を経験後、English OK(のちにピクメディアに社名変更) にて新規事業の立ち上げに携わる。2011年 TableCheck設立、CEO(最高経営責任者)に就任。 "最高のレストラン体験の実現"をモットーに、常にクライアントの立場にたち"使いやすさ"を追求。 現状に甘んじることなく改革していく仕組みを強化し続けている。
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